アナログ放送から地上デジタル放送に移行してから、テレビの電波障害は起きにくくなったと言われています。
しかし、電波障害がまったくなくなったわけではありません。
地形の問題や電波の混線など、さまざまな要因によって電波障害は引き起こされます。
特に、災害時や緊急時に電波障害が起きてしまうと、警報など重要な情報も得られなくなってしまうおそれがあります。
そこで、いざ電波障害が起きても冷静に対応できるよう、地デジの電波障害が起きる原因と電波障害を防ぐための対策について紹介します。
【地デジに電波障害って起きるの?】
電波障害とは、電波の受信状態が悪くなったり電波がまったく受信できない状態になったりして、電子機器に異常が生じる状態のことです。
テレビの場合は映りが悪くなる、今まで問題なく映っていたチャンネルが突然受信できなくなるなどの問題が起こります。
アナログ放送が主流だったころは、ゴースト障害と呼ばれる電波障害が頻繁に起こっていました。
ゴースト現象は、ビルなどの建造物によって電波が反射し、画像に歪みが生じたり二重に見えてしまったりする現象です。
地デジに移行してからは、ゴースト障害が発生しない機構が採用され、電波障害が起きる頻度は減少しました。
しかし、放送タワーから離れた場所やもともと電波の弱い場所では、電波障害が起きる場合はあります。
デジタル放送では、電波の受信状態が悪くなるとブロックノイズが発生し、音声が途切れるなどの障害が現れます。
さらに受信状態が悪化すると、突然テレビが映らなくなることもあります。
【電波障害が起きた場合考えられる原因は?】
地デジで電波障害が起きる原因はひとつだけではありません。
主に考えられる原因は、遮蔽障害、電波の干渉による障害、送電線による障害のいずれかです。
遮蔽障害は、周囲に高層ビルなどの高い建造物がある場所でよく起こります。
電波塔から発信されるテレビの電波が周囲の建物により遮断され、テレビまで届かなくなってしまうのです。
地デジに移行してから遮蔽障害はかなり改善されたものの、地形の問題でいまだに電波障害が起きる場所もあり、ケーブルテレビに切り替えるなどの対策をとっている家庭もあります。
また、アマチュア無線やトラック・タクシーの無線、携帯電話などの機械が発する電波も、電波障害を引き起こす原因のひとつです。
遮蔽障害に比べると起きる確率は低いものの、まれに電波が混線し、誤作動を起こす場合があります。
送電線による障害は、1つの世帯だけでなく複数の世帯で一斉に異常が起きるのが特徴です。
高圧電線が家の近くにあり、かつ近隣の世帯で同時に電波障害が起きた場合は、送電線が原因である可能性が高いでしょう。
【電波障害対策で今からできることとは?】
電波障害を防ぐには、障害が起きる前に自分でできる対策をしておくことが重要です。
まずはアンテナやテレビ、配線の状態をチェックし、劣化や損傷があれば早めに修理しましょう。
1つの世帯で複数のテレビを使用している場合は、ブースターを取りつけることで電波の受信状態が安定し、電波障害が起こりにくくなります。
趣味でアマチュア無線を使っている場合も注意が必要です。
電波障害を防ぐにはアマチュア無線をやめるのが一番ですが、難しい場合はフィルターを使用するなどの対策をして、自分の家だけでなく近隣住民にも迷惑をかけないように対策をしましょう。
地形や立地の問題で電波障害が起こりやすい場合は、ケーブルテレビに切り替えるなどの対策も有効です。
電波が届きにくい地域では、自治体がケーブルテレビへの加入を推奨している場合もあります。
周辺環境の変化に気を配るのも忘れてはいけません。
近所に新しいビルや放送局ができたときには、遮蔽障害が起きないようアンテナの向きを変えるなどの工夫をしましょう。
【もしも電波障害が起きたらどうすれば良い?】
日頃から対策をしていても、どうしても電波障害が起こってしまう場合があります。
異常が生じたときには決して焦らず、まずは原因を探りましょう。
電波障害は1世帯だけで起きるとは限りません。近隣住民に電波障害が起きていないか確認し、複数の世帯で異常が発生している場合は町内会の会長や自治体に相談してみましょう。
集合住宅の場合は管理会社や大家に連絡をします。
テレビだけでなくラジオや携帯電話にもノイズが入ったり、人の声が聞こえてきたりする場合は、無線の電波を拾っている可能性が高いです。
近所にアマチュア無線を使っている人がいれば、電波が混線している旨を伝えて対策をとってもらいましょう。
それでも解決しない場合は、別の場所から強い電波が発信されている可能性があります。
免許を取得せず無線局を開設するのは犯罪です。
個人で対応しようとせず、警察に相談しましょう。
また、パソコンや冷蔵庫、電子レンジなどの家電製品が原因で電波障害が起きることもあります。
新しい家電製品を購入した後に電波障害が起こったときは、テレビから離れた場所に設置するなど、お互いに干渉しないよう配置をしましょう。
【突然の電有障害で慌てないために】
電波障害の原因は、テレビやアンテナの不具合とは限りません。
悪天候で電波の受信状態が悪くなったり、放送局でトラブルが起きたりした結果、電波障害が起きることもあります。
ただし、そのような場合は焦って対処をしなくても、時間が経てば問題が解決されることも多いです。
原因がわからないまま無闇にアンテナの位置やテレビの設定をいじると、かえって状態が悪化してしまうおそれがあります。
ただし、しばらく放置しても問題が解決されない場合や、自分で調べても原因が特定できない場合は、専門業者に調査を依頼しましょう。