集合住宅では壁にあるアンテナ端子(テレビ端子)とテレビをケーブルでつなぐだけでテレビが視聴できるケースが多いです。
こちらは集合住宅にアンテナが設置してありテレビ信号(電波)を共有していると考えられます。
アンテナではなくケーブルテレビなどの可能性もありますが、いずれにせよ、集合住宅の管理者が整備しています。
今回は集合住宅で共有するアンテナ「共聴アンテナ」を取り上げます。
とりわけオーナーや管理会社側の方に役に立つ情報です。
共聴アンテナとは?
共聴アンテナとは、複数の施設や家庭でテレビ信号を共有するためのアンテナです。
集合住宅(アパートやマンション)やビルなどでは、1基のアンテナで電波を受信して各部屋にテレビ信号を送信します。
アンテナを共有すると各部屋で個別のアンテナを設置する必要がありません。
設置工事の費用やアンテナなど機器設置のスペースを節約できます。
一方で、共聴アンテナは管理者が大家や管理会社などのため、どのようなアンテナを設置するか一般的には各世帯に選択権がありません。
そのため視聴したいチャンネル(例えばBSCS放送など)がない環境の可能性もあります。
共聴アンテナは、共同受信施設の一つです。
共同受信施設は、アンテナを複数世帯で共有して有線ケーブルで各世帯へ放送信号を送る仕組みです。
共同受信施設には以下の4つの種類があります。
今回取り上げる共聴アンテナは「集合住宅共聴」システムです。
(画像引用:総務省「テレビ・ラジオの共同受信施設(共聴施設)について」)
マンションやアパートでテレビを見る方法は2つ
集合住宅(マンションやアパート)やビルなどでテレビを見る方法は主に2つあります。
✓ケーブルテレビ
共聴アンテナは上記の項目でも説明したとおり、集合住宅やビルの屋上などに設置した1基のアンテナで受信したテレビ信号を各戸へ分配する方法です。
ケーブルテレビはケーブルテレビ会社が送信した映像データを最寄りの電柱に設置された分岐器から引き込み各戸へ配信する方法です。
どちらの方法にもメリット・デメリットがあります。
共聴アンテナ
共聴アンテナのメリットとデメリット
コストの節約:個別アンテナの設置やメンテナンス費用を住戸全体で分担できコストを大幅に削減できる
スペースの節約:個別アンテナが不要となりスペースを有効活用できる
安定した受信環境:共聴アンテナは家庭用に比べて強力なため安定したテレビ視聴が期待できる
簡単なメンテナンス:大家や管理会社などが一括管理するため住民が個別に管理する手間がない
維持費が安い:アンテナは毎月の利用料がかからずランニングコストが低い
初期費用が高額:共聴アンテナは家庭用に比べて高性能のため大型になり設置工事の費用も家庭用に比べて高くなりやすい
自然の影響を受けることがある:アンテナが屋外に設置されている場合、悪天候の影響を受けてテレビ映りが悪くなることがある
メンテナンスの負担:アンテナの向きが変わったり機器の寿命が到来したりすると専門業者による工事が必要
共聴アンテナにはデメリットもありますが費用面では他の方法に比べてかなり割安であり、各戸の住人の負担が少なくなるためおすすめです。
ケーブルテレビ
(画像引用:J:COM)
ケーブルテレビの概要とメリット・デメリット
ケーブルテレビは、ケーブルテレビ局が受信した放送信号をケーブル(同軸ケーブルや光ファイバー)で各戸に送信するテレビサービスです。
豊富なチャンネル:地デジに加え、ケーブルテレビ特有の映画、スポーツ、音楽、アニメなど専門チャンネルも視聴可能
安定した品質:ケーブルによる信号伝送で、悪天候や電波障害の影響を受けにくく映像や音質が安定しやすい
セット割引やオプションの充実:インターネットや電話サービスとのセット契約による割引サービスや追加サービスが多い
月額料金が発生:利用料金が毎月かかりランニングコストが固定費として発生する
契約と工事が必要:契約内容が煩雑でサービス内容がわかりにくく開設工事の手間もアンテナ設置に比べて費用や時間がかかる
契約期間が長い:2年や3年などの契約期間による縛りがあり解約時期によっては違約金が発生する
回線障害の発生:回線に障害が発生すると映像や音声に影響が出ることがある
回線障害の影響が大きい:災害によりインフラが被災した場合、アンテナに比べて復旧に時間を要し、さらに電話など他のサービスも使用不可の状況になる可能性がある
サービスエリアの制限:ケーブルテレビは提供エリアが限られており地域によっては利用できない
ケーブルテレビにもメリットは多数あり適した集合住宅もありますが、長期間の利用を前提とすると共聴アンテナが優れているといえます。
ーケーブルテレビに関する記事ー
☞【【新築のテレビ視聴方法】アンテナ・光テレビ・ケーブルテレビを徹底比較!】
☞【ケーブルテレビとアンテナはどっちがお得?メリットとデメリットで比較!】
各部屋までの電波の経路
集合住宅で共聴アンテナ、ケーブルテレビを利用した場合の各部屋のテレビまでの経路をそれぞれ説明します。
地デジとBSCSを共聴アンテナとして集合住宅に設置することを想定
(画像引用:総務省「関東総合通信局」)
屋上などに地デジとBSCSのアンテナを設置 | |||
各アンテナが地上波や衛星波のテレビ信号を受信 | |||
UHF・BSCS対応の混合ブースターを設置 | |||
2種類のテレビ信号を混合・増幅させる | |||
分配器を設置、場合によっては分岐器を設置 | |||
同軸ケーブルを伝い各部屋のアンテナ端子(テレビ端子)へテレビ信号を送る | |||
分波器を設置 | |||
地デジとBSCSのテレビ信号を分ける | |||
分波器とテレビ(チューナー)とケーブルでつなぐ | |||
各部屋のテレビが信号を受信し映像と音声を表示する |
地デジとBSCS放送を集合住宅でケーブルテレビを利用して視聴することを想定
(画像引用:東日本電信電話株式会社)
ケーブルテレビ局が地デジやBSCSのテレビ信号を受信 | |||
ケーブルテレビ局からケーブルを伝い集合住宅の最寄りの電柱へ信号を送る | |||
電柱から分岐器(タップ)を通り集合住宅へケーブルを引き込む | |||
引き込む箇所には保安器を設置する | |||
ケーブルテレビ用のブースターを設置 | |||
分配器を設置して各部屋へテレビ信号を届ける | |||
ケーブルチューナーを介してテレビへケーブルをつなぐ | |||
各部屋のテレビが信号を受信し映像と音声を表示する |
その他必要な周辺機器
上記の項目で「共聴アンテナ」を利用して集合住宅でテレビを視聴する方法をご紹介しました。
ここではアンテナ以外に必要な主な機器をご説明します。
✓分配器
✓分岐器
なお、アンテナ本体にも共同受信用があります。
地デジアンテナの場合、主に素子(電波を受信する部分)の数が異なります。
家庭用だと8~20素子が多用されていますが、共同用では20~30素子の高性能タイプが中心です。
BSCSアンテナの場合、大きさが異なり、家庭用では45~50形、共同用では60~120形がメインです。
ブースター
ブースターは増幅器とも呼ばれ、テレビ信号を増幅させる機能を持っています。
テレビ信号が弱いときに使用されますが、複数台のテレビに信号を送るときにも使用されるため集合住宅では欠かせません。
上の写真はDX ANTENNA製のブースターです。
製品名 | CS/BS-IF・UHF・V-Low・FMブースター(35dB形) | ||
型番 | CUP35MS2 | ||
備考 |
・共同受信用のブースターの一つで、2K(地デジ)と4K8K(BSCS)に対応 ・Wi-Fiや携帯電話などの電波の影響を受けにくくかつ与えにくい高シールド構造 |
ーブースターに関連する記事ー
☞【テレビアンテナ用のブースターとは?選び方や設置方法などを解説!】
分配器
分配器は1基のアンテナで受信したテレビ信号を複数の部屋(テレビ)に均等に分ける役割を持っています。
分配器の端子の数はさまざまで最小は2つです。
集合住宅の場合、部屋の数に応じて用意します。
大型のマンションでは1つではなく複数の分配器が必要な場合があります。
上の写真はDX ANTENNA製の分配器です。
製品名 | 6分配器 | ||
型番 | 6DMS | ||
備考 |
・2K(地デジ放送)と4K8K(衛星放送)に対応 ・アンテナからの入力信号を均等に6分割 |
ー分配器に関する記事ー
☞【テレビアンテナの分配器って?分波器との違いや購入前の注意点を解説】
分岐器
上の写真はDX ANTENNA製の分岐器です。
製品名 | 4分岐器 | ||
型番 | 4CMS |
分岐器は分配器と同様にアンテナが受信したテレビ信号を分ける機能を持っています。
分配器は端子の数で均等に分割するのに対して、分岐器は出力端子と分岐出力端子で比重をつけて分割する点で異なります。
集合住宅の屋上にアンテナを設置し、建物が高層の場合、アンテナから上層階と下層階の部屋までの距離が異なるため分岐器が役に立ちます。
ー分岐器に関する記事ー
☞【テレビアンテナの分配器の接続方法を徹底解説!購入時の選び方も紹介】
共聴アンテナの耐久年数は
共聴アンテナの耐久年数は家庭用の機器と同様10~15年が一般的とされています。
ただしアンテナの設置場所による環境の違い、メンテナンスの状況などが大きく影響するため一般的な耐久年数はあくまで目安です。
集合住宅ではアンテナを屋上に設置することが多く、アンテナが紫外線や風雨の影響を受けやすい傾向にあります。
また海沿いエリアでは塩害の影響が、台風が多い地域では暴雨の影響が気になります。
共聴アンテナは主に大家や管理会社が設置し、管理責任も担っています。
共聴アンテナと自宅用のアンテナの最大の違いは不具合によって多くの人(入居者)に影響を与える点です。
そのため定期的なメンテナンスが欠かせません。
特に悪天候(暴雨、落雷など)のあとに不安があればプロの業者へ確認を依頼すると安心です。
アンテナやその他の機器やケーブルが不具合を起こすと入居者に迷惑がかかるため、壊れたり寿命が経過したりする前に修繕や交換を検討しましょう。
共聴アンテナの4K・8K放送対応にするには
(画像引用:DX ANTENNA)
4K8K放送の視聴には4K8Kに対応したBSCSアンテナが必要です。
アンテナだけでなく周辺機器、配線や端子、テレビなども4K8Kに対応した製品にそろえます。
テレビ(またはチューナー)は各世帯で購入するものとして、ここではテレビ以外について説明します。
集合住宅の住人は部屋に整備されているアンテナ端子(テレビ端子)とテレビをケーブルでつなぐとテレビを見られます。
アンテナ端子は1つの場合と2つある場合があります。
2つの場合は地デジ放送と衛星放送(4K8K)に分かれています。
1つの場合は、地デジと衛星放送が1本のケーブルで届いているケースと、建物の設備が古くて地デジのみの端子しかないケースがあります。
もし衛星放送のアンテナ端子が整備されていない場合は新たに設置するため、各部屋に入るような大がかりな工事が必要です。
各部屋での工事には入居者の立ち会いが必須のため、管理者には計画的な準備が求められます。
ー4K8Kに関する記事ー
☞【4K/8K対応アンテナは必要?4K8Kの視聴方法やBSアンテナとの違いを紹介】
共聴アンテナの設置・メンテナンスはみずほにおまかせ!
弊社みずほアンテナはテレビアンテナ工事を専門としています。
個人のお客様からご依頼は家庭用アンテナに関する工事が多いですが、中にはオーナーを務める集合住宅へのアンテナ工事もあります。
1件、弊社の施工事例をご紹介します。
工事内容 | ご新築のアパートに地デジアンテナを設置 | ||
施工地域 | 東京都 | ||
備考 | ご依頼は管理会社ですが立ち会いはオーナー様でした。 | ||
施工写真 |
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ご新築のアパート |
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高性能のデザインアンテナを外壁の高所部分に設置 |
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ブースターは屋内の情報ボックスに設置 |
またみずほアンテナでは法人のお客様からもマンションやビルなどに設置するアンテナ工事のご依頼もこれまで数多くの実績があります。
みずほアンテナでは365日休まずアンテナ工事を行い、例年3万件以上の工事実績を誇っています。
豊富な経験と知識に基づく職人の技術は日本一と自負しています。
職人、受付などを担当する事務方も全員が自社雇用でみずほアンテナが一貫して責任を持って対応しています。
みずほアンテナでは施工後10年間の保証サービスを付与しています。
施工後も責任を持てるアンテナ工事を行っており、個人のお客様も法人のお客様も安心してご利用いただけます。
共聴アンテナ|まとめ
以上、共聴アンテナについて解説しました。
これからアパートやマンションを建てられる方、現在所有している建物のテレビの視聴方法の変更を検討されている方などにも役に立つ情報をお伝えしました。
アンテナかケーブルテレビなど他の方法か、迷っている方もぜひみずほアンテナへご相談ください。
電話やメール・LINEなどによるお問い合わせは完全無料ですので、軽いご相談も気軽にご連絡いただけます。
電話の受付は9時~19時半まで、メールとLINEは24時間開放しています。
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