利得ってなに?アンテナ選びで知っておきたい基礎知識とは!

公開日 2018/12/16

マイホームを建てたら、アンテナを新しく取り付けないとテレビを見ることができません。

また、引っ越しを契機にアンテナを買う必要が出てくることもあるでしょう。

アンテナを購入するためカタログを見ていると、「利得」という項目があることに気づきます。

一般的には、あまり聞かない単語なので「利得ってどんなもの?」と思う人も多いのではないでしょうか。

ここでは、アンテナの利得や選び方について分かりやすく解説しています。

 

 

【アンテナの利得ってどんなものなの?】

 

2011年に地上デジタル放送に完全移行したことで、地デジを見るにはUHFアンテナが不可欠となりました。

また、衛星放送が多様化しパラボラアンテナを利用する人も珍しくなくなっています。

「利得」とはこれらのアンテナの性能を表す指標の1つです。

アンテナが電波を受信するときの効率の良し悪しを示すもので、同じ強さの電波なら利得が大きいほどアンテナから取り出せる電波の強度が強くなり、弱い電波もキャッチできるのです。

そもそも利得とは「指向性のある」アンテナについて使われる指標です。

指向性とはアンテナの放射方向とその強さの関係のことであり、「指向性がある」ということは放射が強くなる特定の方向を持っていることを表しています。

逆に、全方向へ同じ強さの電波を放射できるのなら、それは無指向性ということです。

一番放射が強くなる方向に向いているときの電波の強さを、アンテナの利得といいます。

利得が大きいと特定の方向での感度は上がりますが、それ以外の方向では性能が大きく下がります。

そのため、放送塔が目視できるような場合で、正確にアンテナの方向を合わせられるなら利得の大きいアンテナは有効です。

しかし、放送塔が目視できない場合などでは大きな利得のアンテナでは使いにくいということもあります。

 

【アンテナの利得はなにを基準に決まるの?】

 

利得の単位はデシベル(dB)です。デシベルは比率の単位であり、基準となるものと比べるための指標です。

デシベルを使うということは何か基準となるものがあるということです。

アンテナについては、「基準となるアンテナ」が決められています。

例えばA社のアンテナB製品の利得が0デシベル(dB)であったのなら、その性能は基準アンテナと同じだということを示します。

2倍の性能なら「3dB」であり、4倍なら「6dB」、100倍なら「20dB」となります。

デシベルは常用対数の計算式で求められるので、性能が2倍だから利得が2倍になるのではないことに注意が必要です。

「基準となるアンテナ」には、2つの種類があります。1つは「ダイポールアンテナ」、もう1つが「アイソトロピックアンテナ」です。

ダイポールアンテナとは最もシンプルなアンテナであり、これを基準としたときの利得を相対利得といい、単位は「dBd」または単純に「dB」と表記されます。

一方、アイソトロピックアンテナは、全方向に一様な電波を放出することを仮定した架空のアンテナです。

アイソトロピックアンテナを基準とした利得を絶対利得と呼び、単位は「dBi」が使われます。

ダイポールアンテナの絶対利得は2.14なので、dBdとdBiを単純に比較することはできません。

 

【自宅のアンテナの利得を知るには】

 

引っ越し先などにあらかじめ設置されているアンテナの利得を知るにはどうすればよいでしょうか。

カタログや取扱説明書があれば、利得が記載されているため簡単に知ることができます。

そのような資料がないなら外側から見た形状で判断することになるでしょう。

アンテナの利得は製品によってさまざまなので、正確に知るにはアンテナの型番が必要です。

そのため、アンテナに詳しいアンテナ設置業者に確認するのが最も確実な方法です。

UHFアンテナには、魚の骨のような形をした「八木式アンテナ」やコンパクトな「平面アンテナ」、「室内アンテナ」といった種類があります。

広く普及している八木式アンテナの場合、素子(エレメント)と呼ばれる横棒の数で性能が変わってきます。

素子が多いほど利得は大きく指向性が高くなるのです。電波の強さは住んでいる地域によって差があり、これを電界地帯と呼んでいます。

電界地帯には強、中、弱の3つのレベルがあります。強地帯なら4~8つ程度の素子のアンテナでも充分です。

しかし、弱地帯では20~26素子が必要なケースもあります。自分の地域の電界地帯を知るには、近所のアンテナを調べるのが最も手軽な方法です。

電波の弱い地域には大きめのアンテナが目立つ一方、電波の強いエリアでは平面アンテナなども多くなります。

また、地域の電気屋などに聞いてみるのも良い方法です。

ただし、利得や電界地帯を調べるためだけに業者の有料サービスを利用するのはあまり得策ではありません。

うまく言いくるめられて法外な値段のアンテナを買わされるおそれもあるため、十分に注意しましょう。

 

【アンテナの利得を知って賢くアンテナを選びましょう】

 

賢くアンテナを選ぶには、地域の電界地帯や周囲の建造物などの環境条件を考慮に入れることが大切です。

放送塔や中継塔に近く電波が強いエリアならば利得の大きなアンテナも役立ちますが、そうでないなら逆効果になることもあるのです。

それぞれの条件によって最適なアンテナが違うので、アンテナ選びで失敗したくないのなら信頼できるアンテナ設置業者に依頼するのが一番です。

口コミを調べて評判の良い業者をいくつか選び、見積もりを出してもらいましょう。

きちんと利得を知っていれば賢いアンテナ選びに役立てることができそうですね。


みずほアンテナ編集部
年間3万件以上の施工実績を誇るみずほアンテナの専門チームがテレビアンテナ工事について初心者の方にも分かりやすく解説します。

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