デザインにこだわった一戸建ての住宅にアンテナを設置するには、デザインアンテナがおすすめです。
従来のテレビアンテナといえば、屋根の上に設置された「魚の骨」に例えられる八木式アンテナが一般的でした。
デザインアンテナはより目立ちにくい形状をしていて、住宅の外観への影響を最小化できます。
ただし、両者には一長一短があります。
以下で、八木式アンテナとデザインアンテナの違いやメリット・デメリットを詳しく見てみましょう。
【一般的な八木式アンテナとの違い】
従来、テレビのアンテナといえば八木式アンテナを指しました。
八木式という名前は、開発を担当した日本人技術者である八木秀次、宇田新太郎に由来します。
英語でもYagi-Uda Antennaと呼ばれています。
平行に並んだ素子は指向性を持ち、その数で受信性能をコントロールできるタイプのアンテナです。
八木式アンテナは、ダイポールアンテナ、ループアンテナなどと共に、線状アンテナに分類されます。
その中でも高性能なことで知られていて、テレビだけではなく、FM放送やアマチュア無線、業務用の無線などにも用いられています。
八木式アンテナと比べると、デザインアンテナは、よりシンプルな形をしているのが特徴です。
八木式アンテナは屋根の上などなるべく高い場所への設置が基本ですが、デザインアンテナは軒下などの目立たない壁面に設置することができます。
もし、電波の弱い場所で受信したいのなら、八木式アンテナをおすすめします。
なぜなら、強電界地域から中・弱電界地域まで電波の発信源から広い地域をカバーできるのが八木式アンテナだからです。
デザインアンテナは中・強電界地域向けに作られているので、設置できる地域には限定される傾向があります。
【デザインアンテナの魅力とは?】
デザインアンテナは目立たないというのが最大の特徴です。屋上に設置する必要がないので、八木式アンテナと比べて、存在感を感じることはありません。
外観デザインにこだわった住宅などでは、屋根の上のアンテナが美観をそこねることもありますが、デザインアンテナなら大丈夫です。
また、風雪による影響も低減できます。八木式アンテナは反射器、輻射器、導波器などの素子を並べた風を受けやすい構造になっています。
また、なるべく高いところに設置するため、直接風を受けてしまいます。
経年変化で設置台が傷んでいたりすると、台風のときなどに倒壊する可能性があるのです。
また、弱電界地域用の大型のアンテナになると、降雪時に雪の重みで破損することもあります。
デザインアンテナであれば、壁面に設置が基本なのでこのような被害はほとんどありません。
また、庭先やベランダにマストと呼ばれる棒状の支柱を立て、その上に設置するタイプについても、同じように経年変化による調整や修理などのランニングコストを抑えることができます。
【デザインアンテナの注意点】
美観を維持するためには非常に有効なデザインアンテナですが、性能で比較すると八木式アンテナより割高になります。
また、軒下などの設置となるため、受信感度を上げることができません。
アンテナの受信感度と電波の方向には相関関係があります。
八木式アンテナは設置の際に支柱を回転させながら方向の微調整が可能です。
しかし、壁面設置のデザインアンテナは壁面の向きに限定されるため微調整は困難になります。
諸条件から受信感度が悪くなってしまうと、ブースターによって電波を増幅することが必要で初期投資額が増える傾向です。
ただし、このようなデメリットは将来的には解消される可能性があります。
八木式アンテナは歴史があり、一般的に利用されていますが、それは技術的には完成段階にあることを意味しています。
つまり、今後、現在の性能を超えるような劇的な発展はないということです。
それに対して、デザインアンテナは比較的新しい技術を用いた商品なので、開発次第では今後の小型化・高性能化が期待できます。
将来的には、技術開発によって性能差が縮まり、量産化による価格低下も相まって、デザインアンテナが一般化する可能性があるのです。
【どちらも一長一短!建物の外観やコストを考えて選ぼう!】
八木式アンテナとデザインアンテナのどちらを選ぶかは、いくつかの条件を考慮して決めましょう。
まずは、電波の強さです。中・弱電界地域であれば八木式アンテナ、強電界地域ならデザインアンテナというのが基本です。
また、コストを優先するのであれば八木式アンテナ、美観を優先するならデザインアンテナがおすすめです。
さらに、設置場所についても注意してください。
屋根の上に太陽光発電システムのパネルを載せる場合には、八木式アンテナの設置が難しくなることもあります。
この場合デザインアンテナになるのですが、中・弱電界地域の場合は「ブースターを設置する」「屋根裏設置を検討する」などの必要がでてきます。
いずれにせよ、どちらが最適化についてはプロの意見を聞いたほうがよいでしょう。
具体的な工事価格についても、複数の設置業者に連絡して相見積もりを取り、コストパフォーマンスの高い業者にお願いすることをおすすめします。