これまでは屋根の上や屋上に設置する「八木式アンテナ」が主流でしたが、昨今では家の中やベランダの壁面に取り付けられるデザインアンテナが人気を集めつつあります。
家の外観を損なわない、自分で取りつけができるなどさまざまなメリットがあるデザインアンテナですが、デメリットを知らずに取り付けてしまうと、テレビが映らないなどのトラブルが発生してしまう可能性があります。
そこで、デザインアンテナのメリットやデメリットなど、知っておくと便利な知識を紹介します。
【デザインアンテナとはどんなもの?】
デザインアンテナとは、平面アンテナや壁面アンテナ、フラットアンテナとも呼ばれ、その名の通りデザイン性に優れた形が特徴です。
コンパクトで目立ちにくいため、家の中やベランダはもちろん、BS・CSアンテナなどに設置できるタイプもあります。
色やサイズも豊富で、壁紙の色や住宅の外観に合わせてデザインを選べるのも大きな特徴です。
昨今では屋根の上に太陽光発電パネルを設置する家庭も増えているため、デザインアンテナの重要はますます増えつつあります。
電波塔が東京タワーから東京スカイツリーに切り替わってからは、これまで電波状況が悪かった地域でもデザインアンテナの設置が可能になりました。
ただし、デザインアンテナで受信できるのは地デジ放送のみなので、BS・CS放送を受信するには専用のアンテナを取り付ける必要があります。
【デザインアンテナのメリット】
デザインアンテナの大きなメリットは、どのような家にもマッチするという点です。
従来の屋根の上に取り付けるタイプの「八木式アンテナ」は、建物の外観を損ねてしまうのが難点でした。
しかし、デザインアンテナは屋根裏などの目立たない場所にも設置できるので、外観にはほとんど影響を与えません。
また、八木式アンテナのように常に屋外にさらされているわけではないので、風雨の影響を受けにくく、劣化や破損のリスクを最小限に抑えられます。
特に海辺や豪雪地帯など、天候によりアンテナがずれたり倒壊したりすることの多い地域では、デザインアンテナがおすすめです。
さらに、デザインアンテナは自分で取りつけやメンテナンスができます。
八木式アンテナは屋根の上など高い場所に設置するため、専門業者に取り付けを依頼する必要があります。
しかし、デザインアンテナは施工の際に危険をともなうことはほとんどなく、屋根や外壁を傷つける心配もありません。
【デザインアンテナのデメリット】
良いことしかないように思えるデザインアンテナにも、デメリットは存在します。
まず、デザインアンテナは八木式アンテナよりも受信感度が低く、電波の弱い地域ではデザインアンテナに切り替えた途端にテレビが映らなくなってしまうことがあります。
特に屋根の下やベランダなど、低い位置にアンテナを取り付ける場合は、ブースターを使って電波の強度を上げなければならないケースもあるので、アンテナを設置する前に電波の受信状態を確認しておきましょう。
心配な場合は専門業者に相談して、デザインアンテナの取り付けが可能か診断してもらうのがおすすめです。
また、デザインアンテナを設置した時点では問題なくテレビが映ったとしても、後から高層ビルやマンションが建設されると、電波の受信強度が落ちてしまう場合があります。
今後、自宅付近に大きな建物が建設される予定があるなら、完成してからデザインアンテナの導入を検討したほうが良いでしょう。
【デザインアンテナの相場】
デザインアンテナは家電量販店や通信販売でも購入できます。
本体の価格は10,000円~12,000円ほどが相場です。
1,000円~3,000円程度で手に入る室内アンテナも販売されていますが、こちらはデザインアンテナよりも小型で、受信感度は低いです。
もともと電波の悪い立地では、小型アンテナだとテレビが映らない場合もあるので注意しましょう。
業者に取り付けを依頼する場合は、アンテナ本体と工事の費用を含めて20,000円~25,000円ほどかかります。
さらに、家の中で複数のテレビを使用したり、立地や地形の問題で受信できる電波が弱かったりすると、ブースターを追加で設置しなければいけません。
そのような場合は、さらに15,000円~20,000円ほど費用が上乗せされます。
自分でアンテナを取り付けるのであれば工事費用はかかりませんが、アンテナを付けたのにテレビが映らない、取り付けに時間がかかってしまい1日では終わらないなどの問題が起こるケースもあります。
自信がないのであれば、専門業者に工事を依頼するのが無難です。
【デザインアンテナを選ぶ理由】
デザインアンテナを選ぶ理由は、景観を損ねない、劣化や破損の心配が少ないなど、人によってさまざまです。
しかし、メリットだけに注目してデザインアンテナを選んでしまうと、後からデメリットに気付いて後悔する可能性もあります。
デザインアンテナはどのような場所でも取り付けられるとは限りません。
設置する場所の環境や電波状況に合わせて、相性の良い機種を選ばなければいけません。
アンテナの設置や交換を検討しているのであれば、まずは専門業者に相談しましょう。